福岡小1殺害 なぜ母が子を…罪認め号泣9月22日13時19分配信 毎日新聞
福岡市西区の公園で近くの同市立内浜小1年、富石弘輝(こうき)君(6)が殺害された事件は発生から5日目、母親が逮捕されるという、やるせない展開になった。子育てに熱心で、PTA役員も務めていた薫容疑者(35)。「なぜ、わが子を……」。関係者は言葉を失った。
◇事件後、遺体にすがる姿
「トイレに行った間に、子供の姿が見えなくなった!」。事件当日の18日、薫容疑者はそう言って、現場の公園にいた人たちに助けを求めた。約30分後、捜索に加わった人が、トイレの外壁と柱のすき間で息絶えた弘輝君を見つけると、顔が黒ずんだ弘輝君にすがりついて泣いた。救急車で病院に向かう間は、ずっと弘輝君の名を呼び続けた。20日の葬儀では出棺前、薫容疑者が弘輝君の頭をなで続ける様子が参列者の涙を誘ったという。
弘輝君は軽度の発達障害があったとされ、小学校では特別支援学級に通っていた。同級生の母親は入学式の後のクラス懇談会で、あいさつした時のことをおぼえている。「(薫容疑者は)最後にあいさつし『うちの子は落ち着きがないところがあるので、迷惑をおかけすることがあるかもしれません』と泣き出しそうな顔で話していた」という。
学童保育を通じ薫容疑者と付き合いがあった保護者は「子育てにはご苦労されていた。2学期から『子供と一緒に過ごしたい』と(会社事務の)仕事を休業し、学童保育には来なくなっていた。相談できる人がいなかったのではないか」と話す。
薫容疑者は事件後、福岡県内の実家に身を寄せていた。22日午前8時過ぎ、ワンボックス型の捜査車両が到着し捜査員数人が入って任意同行を求めた。玄関を出た薫容疑者は草色のパーカを着て顔をすっぽりと覆い、うつむいて重い足取りで車に乗り込んだ。
弘輝君の葬儀翌日の21日、福岡県警の捜査員は任意の事情聴取で薫容疑者に「本当のことを聞きたい」と告げた。「私がやりました……」。薫容疑者はそう打ち明けると、せきを切ったように号泣したという。やがて落ち着くと、自分が病気であることや、子育てに悩みがあって将来を悲観していたことなどを語り始めたという。
◆インターネットによる
発達障害チェックリスト
http://www.jasssdd.org/WebAssessment/◆
発達障害 -
Wikipedia ◆
広汎性発達障害 -
Wikipedia 福岡・男児殺害 逮捕の母「面倒見るの大変」 自分は病弱 追い詰められ…9月22日15時53分配信 産経新聞
「子供の面倒を見るのが大変」。福岡市西区の小学1年、富石弘輝君(6)が殺害された事件で、逮捕された母親の薫容疑者(35)は育児の悩みと自分の体調がすぐれないことを知人に漏らしていた。病弱で、新しく引っ越した地では仕事を辞め、学童保育も利用できなくなっていた。追いつめられた末の犯行だったのか。通夜の席では「また弘輝を産みたい」と涙を見せていたという。
「弘輝はすぐどこかへ行ってしまうから、手をつないでないといけない」。薫容疑者がそう話すのを聞いたことがあるという知人や、通学先の小学校によると、弘輝君はひとつのことに集中できなかったり、突然予想できない行動を取ったりすることがあった。
薫容疑者は「以前も、保育園で突然どこかに行ってしまって…」と悩みを打ち明け、自分の健康状態についても「布団から起き上がれないこともある」とつらそうに話していた。
知人らによると、薫容疑者は市内の小、中、高校を卒業。結婚後は夫の実家で同居し、弘輝君を出産した。しかし、当時を知る近所の住人は、まだ幼い弘輝君が家の近くで一人で遊ぶ姿を目にしていた。「母親は体が弱く、4年ほど前に自分の実家に帰ったようだ」と話した。別の知人は、弘輝君の小学校入学に備えて今年2月ごろ、現在の住所に引っ越してきたと語る。
薫容疑者は夫(33)と、弘輝君の3人暮らし。薫容疑者は仕事をしていたため放課後は学童保育を利用して弘輝君を預けていたが、今年夏ごろに仕事を辞め、利用できなくなったという。
弘輝君と同じ小学1年の息子を持つ大学職員の男性(49)は5月、学童保育で悩みを打ち明けられた。「子供が元気よすぎてコントロールが利かない。自分が病気だから面倒を見るのが大変」。近所に同学年の友達がおらず、遊ばせることができないのではと心配し、一緒の登校を持ち掛けた。しかし、実現したのは2、3回だけだった。
男性は「いろいろと周りの助けが必要な方だったと思う。子供を預けられなくなり、苦労されたのでは」と話す。
「できることならまた、弘輝を産みたい」。通夜の席で、ひつぎのそばを一人動こうとせず、弘輝君の顔を見詰めながら静かに泣いていたという薫容疑者。犯行現場の公園で弘輝君の第一発見者となった男性(62)によると、弘輝君のサンダルは、足元にきれいにそろえて置かれていたという。
憩いの場 震かん 福岡・小1男児殺害 母「息子いない」 必死の捜索実らず9月19日7時5分配信 西日本新聞
憩いの場が突然、悲劇の舞台に暗転した。福岡市西区小戸(おど)2丁目の小戸公園で18日、近くの内浜小1年富石弘輝(こうき)君(6つ)が殺害された事件。「うちの子がいなくなったんです」。一緒に遊びにきていた母親(35)は、周囲の人に声を掛け捜し回ったという。しかし、最悪の結末に。間近に迫った運動会に向け、駆けっこやダンスの練習に励んでいた弘輝君。くりくりした目を輝かせ、やんちゃぶりを発揮していた。「いつもにこにこ元気だった子。なぜ…」。突然の悲報に、学校関係者や保護者は言葉を失った。
「一人息子なんです。私がトイレに行っている間にいなくなってしまって」。携帯電話の画面に映ったわが子の画像を通りかかる人に見せ、捜し回る母親。たまたま公園にいて、一緒に弘輝君を捜した女性(83)は「全身をがたがたと震わせ、唇も青ざめていた」とその様子を振り返る。
現場は今津湾に面した海浜公園。球技場や芝生広場、バーベキュー広場を備え、近くにはヨットハーバーもあり、休日は家族連れや若者でにぎわう市民の憩いの場となっている。ただ、平日は近所の人が散歩に訪れるくらいで、この日も人影はまばらだった。
「トイレだ」。行方が分からなくなって30分ほどが経過した午後4時ごろ、台風13号の影響もなく穏やかだった公園の雰囲気が一変した。トイレの外壁と柱の間にある70‐80センチほどのすき間に、壁にもたれかかり足を伸ばした状態の弘輝君が見つかった。
母親に協力して4、5人の市民や警官と一緒に捜し回り、第1発見者となった男性(62)は「ふざけて隠れているのかと思ったが、顔色が悪く、目を閉じていたので大変だと思い、警官に声を掛けてもらった。信じられない」と顔をこわばらせた。
公園の周囲は、マンションや家屋が並ぶ閑静な住宅地。弘輝君のマンションも公園に隣接する。
敬老の日、弘輝君は子ども会の行事に参加し、町内の高齢者宅を慰問した。子ども会役員の女性(38)は「チャイムは僕が押す、と積極的だった。いつもにこにこ元気。やんちゃで活発な子だったのに」とやりきれない様子で話していた。
=2008/09/19付 西日本新聞朝刊=
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